世界の自動車産業に重圧-トランプ氏が欧州車への20%関税を警告
世界の自動車産業に重圧-トランプ氏が欧州車への20%関税を警告
Elisabeth Behrmann
Bloomberg 2018年6月23日 10:52 JST
→最初の標的は中国か-500億ドル関税対象のリストに自動車
→ダイムラーが利益見通し下方修正するなど影響表面化
世界の自動車産業は過去30年でグローバル化が一層進んだ。メーカー各社は業績への為替変動の影響を減らすとともに、海外のより安価な労働力を活用するため国外に多くの製造拠点を設けた。
ドイツのBMWはサウスカロライナ州でスポーツタイプ多目的車(SUV)を、トヨタ自動車はケンタッキー州でセダンをそれぞれ製造している。米ゼネラル・モーターズ(GM)はメキシコでピックアップトラックを生産しており、韓国の現代自動車はチェコでクロスオーバーを組み立てている。また、ほぼ全社がほとんど全ての車種を中国でより多く生産している。
自動車は通常、販売先の国で生産されるが、他国からの輸出は依然として珍しいことではない。BMWは昨年、米国から「X5」SUVなどを約100億ドル(約1兆1000億円)相当輸出し、米国製自動車の輸出で業界1位だ。
こうした進化にもかかわらず、トランプ米大統領が「容易に勝利できる」と豪語してきた闘いに乗り出したため、世界の自動車貿易は脅威にさらされている。欧州連合(EU)が米国の鉄鋼・アルミニウム輸入制限に対する報復関税を発動したのを受け、トランプ氏は22日、EUが関税や貿易障壁を取り除かなければ、米国はEUからの輸入車に20%の関税をかけるとツイートした。
中国が米国から輸入する自動車の台数は、中国製自動車の米国への輸出より多いが、自動車分野でトランプ大統領の最初の標的となりそうなのは中国だ。トランプ政権は来月、500億ドル相当の中国製品に対し25%の関税を発動する予定で、このリストに自動車が含まれている。中国政府は対抗措置として自動車を含む米国製品に対し「同等の規模および強度」の関税を課すと表明している。
関税の発動前から影響は出始めている。ドイツのダイムラーは20日、今年の利益見通しを下方修正した。米国製自動車に対する中国の報復関税により、アラバマ州から中国に輸出している車両の今年の販売台数が従来予想の6万台に届かない見込みであることを理由に挙げた。
原題:Trump’s European Car Threat Adds to Strains on Global Auto Trade(抜粋)
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