オウム死刑執行を「公開処刑ショー」にしたTVの人権意識
オウム死刑執行を「公開処刑ショー」にしたTVの人権意識
日刊ゲンダイDIGITAL 2018年7月7日
元記事:https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/232908
東京拘置所前で警戒する警察官(6日)/(C)共同通信社
さながら「公開処刑ショー」のようだった。6日行われた麻原彰晃(本名・松本智津夫)死刑囚ら元オウム真理教幹部7人の死刑執行。テレビは午前中から特番に番組内容を変更。東京拘置所からの中継に切り替えるなどして報じていたが、その様子に嫌悪感を抱いた視聴者は少なくなかっただろう。
「今、死刑が執行されました」
死刑の速報テロップと同時に、女性アナウンサーが「執行」と印刷されたシールを麻原ら死刑囚の顔写真の上にペタペタと貼っていく。
オウム真理教による事件が与えた被害の甚大さや社会に与えた影響、遺族感情を考えれば、国民の間で早期の死刑執行を望む声があったのは理解できる。だが、だからといって、死刑囚に対してテレビが選挙報道の「当確」のような演出をして許されるはずがない。理由はどうであれ、人間の生死に関わる内容なのだ。
■死刑囚本人より早く知っていたのか?
大体、今回の死刑執行報道は初めから違和感があった。これまでの死刑執行は、執行後に氏名などが淡々と公表されるだけだったからだ。それが、「手続き」段階からバンバン報じられ、NHKに至っては早朝に東京拘置所に入る検察関係者の姿もバッチリと撮影していた。NHKは明らかに事前に死刑執行の情報を得ていたとしか思えない。つまり、死刑執行を当日朝に教えられる死刑囚よりも情報を早く入手していた疑いがあるのだ。
服部孝章立教大名誉教授(メディア法)がこう言う。
「国家的殺人とも言われる死刑を1日で7人も同時執行し、その様子をテレビがイベントのように扱い、リアルタイムで報道する。こんな国は先進国で日本だけでしょう。世界も唖然としたと思います」
安倍政権下で「人権意識」がどんどんマヒしている。
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