三菱重工業:ターボチャージャー需要、今後10年は拡大
三菱重工業:ターボチャージャー需要、今後10年は拡大
松田潔社、Kevin Buckland
Bloomberg 2018年7月12日 20:09 JST 更新日時 2018年7月13日 11:14 JST
→ターボチャージャーでシェア約25%、首位目指すー木村副社長
→EV普及にはかなり時間を要する、過給器の必要性増す
三菱重工業は、自動車用ターボチャージャー(過給器)の需要は、今後10年程度は拡大が続くとみており一段の製品の開発や販売強化を目指す。世界的に電動化が進むなかでも、従来のエンジンを使った自動車の需要は中国や欧州に加えて新興市場でも成長が期待できるとし、高効率ターボチャージャーの開発に注力する考えだ。
木村和明副社長は12日のインタビューで「ターボ-チャージャーの世界需要は2030年程度までは拡大するとみている。自動車業界ではEV化の話題が中心だが誤解があるようだ」と話した。その上で、電気自動車が市場の主流を占めるまでにはまだかなりの時間を要するとの見方を示した。木村氏が率いるインダストリー&社会基盤ドメインは、三菱重全体の売上高の半分以上を稼いでおり、さらに過給器の売り上げは同ドメイン全体の約1割に達している。
木村氏は、中国や欧州などでは環境規制により電気自動車の割合が2割程度まで増えたとしても、残りはガソリン車、ディーゼル車、ハイブリッド車となり、出力を落とさずにエンジンの排気量を減らすことができる過給器の必要性はますます拡大することになると話した。さらにアフリカや南米といった地域では「電気自動車がいきなり普及するとは思えない」とし、まずは内燃機関が主流になると強調した。
世界の過給器市場は三菱重のほかIHI、米ボルグワーナー、米ハネウェル・インターナショナルの4社がほぼ分け合っている。このうち三菱重のシェアは約25%で、世界首位を目指していることを明らかにした。同社の2017年度の過給器の売上高は2000億円超。世界の主要な車メーカーに供給しているがトヨタ自動車には納入していない。
木村副社長が統括するインダストリー&社会基盤ドメインは、ターボチャージャーの他、物流機器や製鉄機械、化学プラント、交通システムなど12事業で構成されている。同ドメインの前期(2018年3月期)の連結売上高は1兆8989億円で、同社が5月に発表した新中期経営計画では20年度2兆円を目指している。
木村氏は、景気環境や受注時期に多少左右される可能性はあるとしながらも「2兆円は堅めにみた数値。1割程度上振れの2兆2000億円を狙っていきたい」と述べた。さらに、海外での企業買収や提携などに積極的に取り組む姿勢も維持するとした。
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