リラ急落で浮上した時限爆弾-トルコ電力各社の外貨建て債務

リラ急落で浮上した時限爆弾-トルコ電力各社の外貨建て債務

Ercan Ersoy、Asli Kandemir

Bloomberg  2018年7月12日 11:04 JST

→リラ下落のスピードは電気料金引き上げ可能なペースを上回る

→規制や料金上限により電力各社は値上げできず財務に重し


トルコ中央銀行は先月、リラ相場急落を受け、借金は外貨ではなく自国通貨で行うよう呼び掛けた。だがエネルギー企業にとって、この要請は遅過ぎた。過去15年にわたり発電・送電の新規事業や買収に充てるため巨額の資金を借り入れてきた電力各社が、国内の銀行にとって最大級のリスクとして浮上している。

  アンカラを本拠とする電気事業者協会によれば、リラ下落のスピードは電気料金引き上げ可能なペースを上回っており、年間ベースで外貨での返済額より利益が少ない電力会社もあるという。


  エルドアン大統領が強権政治に向かう中、リラは対ドルで2010年初め以降69%下落。先月の大統領選で再選を果たし新たに5年の任期を得た同大統領は娘婿を財務相に起用するなど、一段と権限を強めている。

  トルコ工業・企業家協会(TUSIAD)のチーフエコノミスト、ズムルト・イマモグル氏は「最近数年のリラ下落は想定外だったが、それだけではない」と指摘。「通貨ショックでコストが膨らむ一方で、政府の規制や料金上限により各社は値上げできず、それが財務上の問題を引き起こしている」と述べた。


  電気事業者協会のデータによると、03年以降にこのセクターに投じられた950億ドル(約10兆6500億円)のうち、約510億ドルがまだ返済が必要な債務。中銀のデータは、金融機関以外の企業が抱える外貨建て債務は3400億ドルだとしており、その15%に相当する。

原題:Turkey Faces Ticking Bomb With Energy Loans of $51 Billion (2)(抜粋)

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