オウムの麻原、井上、土谷、新実ら死刑囚の最期の瞬間「その後、仕事できず」と検察幹部〈週刊朝日〉
オウムの麻原、井上、土谷、新実ら死刑囚の最期の瞬間「その後、仕事できず」と検察幹部〈週刊朝日〉
AERAdot 7/15(日) 13:04配信
地下鉄サリン事件など、オウム真理教の一連の事件で死刑が確定、麻原彰晃元死刑囚ら教団幹部7人の死刑が執行されて1週間が経過した。麻原はじめ、元死刑囚らの執行時の様子が次第に明らかになってきた。
【写真】獄中結婚した妻の面会を毎日心待ちにしていた元死刑囚とは
「死刑執行の2、3週間前から『刑場の清掃がはじまった』という話が聞こえてきました。死刑がある前には、必ず念入りに数回、清掃があるのです。そして『テストもやっている』という声も入りました。テストというのは、死刑執行の装置、踏み台などが正常に作動して落ちるのかなど、確認作業をすることです。拘置所の職員の間では、正直、自分たちが担当になるかならないか、緊張感がありましたね。今回はオウム真理教の死刑囚であることは、容易に想定できましたから」(大阪拘置所関係者)
死刑執行された7月6日、麻原元死刑囚は、毎朝7時の起床に合わせて、東京拘置所の独居房で目を覚ましたという。その後、朝食をすべて食べて食器を戻してほどなく、刑務官から
「出房」
という声がかかった。
日常、運動も拒否し、独居房から出ることがない麻原元死刑囚。刑務官の声にも、ほとんど反応しなかった。だが、この日は複数の刑務官が麻原元死刑囚の独居房に入り、
「連行」
と声をかけ、連れ出した。
通常、収容者が使用しない通路を通って、麻原元死刑囚は刑場へと向かったという。そこには「万が一」に備えて、複数の刑務官が通路には立ちは警戒していたそうだ。その時、麻原元死刑囚はさしたる反応がなかったという。
刑場の前にある「教誨室」で椅子に座るように促された、麻原元死刑囚。
「今日、お別れの日がきました。教誨、どうしますか」
教誨とは、死刑執行前に、僧侶や牧師から講話を受けること。そう聞かれたが、無反応で何も語らない麻原元死刑囚。設置されている、仏壇に手を合わせることもなかったという。何度も、同じことを聞かれたが、何も答えなかったという。
遺書を書くかと聞かれたが、それにも
「……」
と返事はなかった。
「麻原元死刑囚は、普段は一日中、独居房の壁にもたれかかり、うつろな顔でボーっとしているだけ。しかし、3度の食事は食べます。この日、教誨室で死刑執行を知った時は、本当か?という感じで、キョトンとして信じられないという表情だったそうです」(法務省関係者)
そして、遺体や遺品の引き取りについて尋ねられたが、そこでも答えはなし。
そこで、刑務官が妻や長女ら、家族を具体的にあげて聞いた。
「四女」
そう麻原元死刑囚は、話したという。
ハッキリ聞こえなかったので、再度、刑務官が
「四女でいいのか?」
「四女なんだな?」
と何度か確認すると、うなずいたという。
そして、刑務官が両脇を抱えるようにして、麻原元死刑囚を刑場の前にある「前室」に連れて行く。線香がたかれ、そのにおいが充満した「前室」で拘置所の所長が麻原元死刑囚に指揮書を読み上げて、死刑執行を告げた。
「麻原元死刑囚は、暴れたり、声を発することはなかった。だが、前室で目隠しをされ、両足を固定されたときには死刑が現実のものとわかったのか、顔がやや紅潮してみえたそうです」(前出・法務省関係者)
そして、麻原元死刑囚は刑場へと消えたという。
この日、東京拘置所では麻原元死刑囚だけではなく、遠藤誠一元死刑囚と土谷正実元死刑囚も執行された。
「通常、死刑執行は1日に2人まで。3人というのは異例です。麻原元死刑囚の執行の間に次の準備に取り掛かかり、とても慌ただしい状態でした。土谷元死刑囚は、執行前から精神的に安定しない日々で、執行を告げられてかなり驚いていたそうです」(前出・法務省関係者)
大阪拘置所では、井上嘉浩元死刑囚と新実智光元死刑囚の死刑が執行された。
「井上元死刑囚は死刑執行が近いと思っていたのか、独居房でもせかせかした感じでいろいろノートに書いていましたね。新実元死刑囚は大阪拘置所に移送された後、毎日、獄中結婚した妻が面会に来てくれるのを心待ちにしていた。面会室では新婚のカップルのようにみえたという。だが、新実元死刑囚は精神的には、落ち着かない日々で、ソワソワしていて、『どうなるのだろう』とこぼすこともあった。東京拘置所では、独居房で瞑想したそうだが、大阪拘置所ではそんな余裕もなかったようだ」(大阪拘置所関係者)
井上元死刑囚は、死刑執行の直前、最後の言葉として、自分の両親に
「心配しないでと伝えてください」
「ありがとうございました」
と述べた。
「こんなことになるとは思っていなかった」
その言葉の意味が、オウム真理教に入信し、麻原元死刑囚と行動をともにしたことのなのか、それとも最近になって再審請求をしたので、まだ死刑執行はないと思い込んでいたのか、詳細はわからない。そして、2人の刑務官にはさまれるようにして、自ら刑場に歩を進めたという。
その遺体は、両親に引き取られて、故郷で荼毘に付されたという。
死刑執行には、検察庁の幹部が立ち会う。一般的には、高等検察庁の部長クラスが選ばれるという。
「死刑当日、執行に立ち会った幹部は検察庁に戻るなり、足元に塩をまかれてお清め。すぐ自宅に帰ったそうです。さすがに、そのまま仕事はできませんよね」(ある検察庁の幹部)
残る6人のオウム死刑囚の執行は年内とされている。
※週刊朝日オンライン限定記事
=== AERAdot報道(ここまで)===
死刑に関しては、さまざまな意見があります。その中でもとくに多いのが、「被害者の人権はどうなる」「死刑が廃止されては、『被害者や遺族の感情が納得いかない』」という意見です。そして、この問題が、死刑をめぐる一番難しい問題なのだと思います。
この意見に込められた気持ちは、かけがえのない家族を失った、たとえようのない悲しみであり、また犯罪者への怒りであり、ほとんどの人が感じる、人間として当然の感情だと思います。もちろん私たちも、愛する家族や友人を奪われたとしたら……。悲しみ、喪失感、犯人への怒り、自責の念、想像するだけでも辛い気持ちになります。「犯人には死をもって償って欲しい」とすら、思うかもしれません。
しかし、その感情を認めたうえで、「死刑」というもう一つの「殺人」を私たちは選択するのか、ということを、もう一度、一緒に考えていただきたいのです。
死刑制度に反対です。
マリヤ・マグダレナ
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